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作成日:2005/08/31

豊穣への祈り 石見神楽と若者たち

市民特派員レポート 広報うしく市民特派員 飯塚 寿子

大自然の神々様!神楽舞台にお出ましください

 氏子をば神こそ守れ千代までも 皆、岡山の米となるまで〜「神降し」の唄の一部です。この唄は何を意味しているのでしょう。
 「私たちのことを神よお守りください。皆が山の米となるまで」私たちは死後、米になるのでしょうか。
 神楽を始めるとき、大自然の神々を神楽舞台にお招きし、豊穣への祈りをささげる儀式舞が厳かに演じられ、さあ! 石見神楽の始まりです。(写真) 豊かな実りに感謝し神々をお招きする

「滝夜叉姫」

 舞台は一転し、美女がしずしずと登場してきました。天慶の乱で、あえない最期を遂げた平将門。その娘五月姫が父の怨念を晴らすため貴船の社に願を懸け妖術を授かり、名を滝夜叉姫と改め朝廷に戦いを挑みますが、時の帝の勅命を受けた武将・大宅中将光圀に姫の一党は征伐されてしまいます。しかし、その史実は……。将門の一族はことごとく成敗されましたが、二女の五月姫ひとり難を逃れ、現在の福島県いわき市にある恵日寺で如蔵尼という名の尼さんになりました。その一生は一族の供養をしながら安らかな日々を送ったとされており、今でもこの恵日寺には滝夜叉姫(五月姫)のお墓があるそうです。
 ではなぜ、中国地方の山間の地で滝夜叉姫の名が知れ渡っているのでしょうか。悲しくも壮大な歴史物語を感じさせる「滝夜叉姫」は、反骨の新皇・平将門を崇拝する民衆が、その心を宿らせて朝廷に背くことにつくり上げられ、生きとし生けるものの活力を生む舞台芸術として、五月姫をモデルに神楽化されたものです。当日は恵日寺の檀家の方々18人が来場されました。
 そのほかの演目「紅葉狩」は、信州戸隠山に住む鬼女と帝の勅命を受けた中納言平維茂との戦い。「黒塚」、そして最後にご存じ「八岐大蛇」などで、華麗、迫力、スピード感、内容ともに前回より見ごたえが感じられる舞台でした。(写真) 戸隠山の鬼女と平維茂の対決

演じる若者たちの輝き

 今年も多数の若者が演じ手の中にいました。なぜ石見神楽に若者が多く在団するのでしょうか。江戸時代中期に始まり、島根県と広島県の山間地に250団体あり、子ども神楽を合わせると300団体を超えるといいます。ほかの郷土芸能との違いは、小学校から高等学校まで、子ども神楽やクラブ、愛好会などがあり、地域の一員として慣れ親しんでいることにあるようです。職業や学校生活と両立させることは厳しいようですが、頑張れるのは「好きだから」と答えてくれました。
 今回のこの公演に先立ち、4月の桜舞うころ、つくばリサーチギャラリーにて、豊穣への祈り「サの神」展があり、農業と神楽舞とのかかわり、大自然に生きるというメッセージに感銘を覚え、おととしに引き続き取材しました。(7月10日、市中央生涯学習センター文化ホールで)
(写真) 精いっぱいの力を出し、役を演じきった若者たち

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