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平成18年度諮問第23号/答申

(諮問23号)牛久市甲第4438号「庁議における審議内容部分」を公開しないとした公開決定処分について

1.審査会の結論
本件不服申立ての対象文書である池邉市長就任以降の庁議録(平成15年度第7回から第9回、平成16年度第1回から第17回、平成17年度第1回から第6回、第1回臨時から第3回臨時)は、別表に掲げる部分を除き、その余の全部を開示すべきである。

2.庁議の位置づけと庁議録の‘公文書’性
牛久市庁議訓令(平成15年3月31日訓令3号)によれば、‘庁議’は「市政各部門の基本的方策を総合的視野から策定し、その推進に当たって相互の連絡調整を行い、市行政の適正かつ能率的執行を図るため」に定期的に月例で、ときには必要に応じ臨時に開催されるものである。正規の構成メンバーは市長、三役、各部長とされる。庁議訓令5条、6条には、庁議への付議手続が整えられており、また同訓令8条以下に「庁議において審議する事案について、事前に調査検討を行うため」に調整会議がおかれている。すなわち、‘庁議’は行政庁内部の最終の意思決定段階の公式の会議と認められる。
‘庁議録’は、この庁議の内容を記録した議事録であり、庁議訓令13条1項は庁議主管課が庁議の記録を保存するとともに、庁議決定事項を庁内に周知するとしているところから、相当程度‘熟成した意思の記録’と見ることができる。しかも、‘庁議録’は、庁議主管課の職員が「職務上作成」し、「当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして当該実施機関において管理又は保有しているもの」であるから、本市情報公開条例2条3号にいう‘公文書’に該当すると認められる。

3.不服申立てに至る経緯
3.1開示請求
本件の異議申立人(以下「申立人」という)は、平成17年10月6日、牛久市情報公開条例(以下「条例」という)12条の規定に基づき、牛久市長(以下「市長」という)に対して、「池邉市長就任以降の庁議議事録に相当するもの全て」の公開を請求し、実施機関は同日これを受理した。

3.2開示請求後の経緯
実施機関は、開示請求の対象となる庁議録として、「平成15年度第7回から第9回、同16年度第1回から第17回、同17年度第1回から第6回、第1回臨時から第3回臨時」を特定し、これらの公開の適否について検討した。当該庁議録が多量にのぼるため、市長は条例14条1項に定める期限までに事務処理が困難であることを認識し、やむなく10月19日、同条2項の規定を適用し、公開決定期限を14日間延長することとし、その旨を申立人に通知した。

3.3一部公開決定処分とその理由
市長は、平成17年11月2日、条例13条1項の定めに従い、以下の通り公開することを決定(以下「原処分」という)し、申立人に通知した。
(1)部分公開とした公文書とその理由
市長は特定した庁議録につき、部分公開とした。その理由は、情報公開の適用除外を定めた条例7条7号に該当する「庁議における審議内容部分は、行政庁の意思形成過程にある未成熟な情報にあたり、公にすることにより、率直な意見の交換が損なわれるおそれがある」とした。また、庁議は、一般にその開催に先立ち、行政庁の意思の調整、統一を図るために事前に付議事項を定めている。特定した庁議録には、付議事項を超えて流動的な議論をしているところが少なくなく、原処分ではその部分を非開示としている。

(2)非公開とした庁議録とその理由
平成16年度第14回から第15回庁議の録音テープ、および平成16年度第3回から第17回、平成17年度第1回から第2回、第4回から第6回、第1回臨時から第3回臨時庁議を録音したCD-Rを非公開とした。その理由は、条例7条7号に該当し、「電磁的記録であり、部分的な公開が技術的に不可能である」ということにある。

4異議申立人の主張の要旨
申立人は、原処分で非公開とされた部分のすべてが実施機関の主張する条例7条7号に該当するとは認められず、この条例の4条の「公文書の公開を請求する権利が十分に保障される」ように解釈、運用されるべきであって、なおかつ「すべての職員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し」という公務員の服務の根本基準を定める地方公務員法30条に照らして、庁議を含めたすべての職務情報は、特別な個人情報を除き、市民の知る権利に基づいて公開されることが当然であると主張している。

5審査の経緯
5.1情報公開・個人情報保護審査会に諮問
12月19日、市長は、条例21条の規定に従い、本件異議申立てにつき、当情報公開・個人情報保護審査会(以下「審査会」という)に諮問した。 この市長の諮問をうけ、12月22日、審査会は条例3条4項の定めにより設置された第2部会に本件審査を付託することとし、その旨の部会開催通知を発出した。しかし、本件の審査に慎重を期すべく、同月27日、条例3条3項の規定を適用し、部会審査を審査会審査に変更することとした。平成18年1月17日に第1回の審査会審査が開始された。

5.2審査会審査の実施
まず、異議申立ての対象とされた‘庁議録’が本市情報公開制度の対象とする‘公文書’にあたるか否かの検討を行ない、上記の通り、‘公文書’に該当することを確認した。原処分が非開示とした付議事項を超えて展開されている議論についても、記録にとどめられ、市行政組織内部において業務遂行上共有情報とされたことにかんがみ、精査の対象とすることに異論はなかった。 平成18年1月17日、2月9日、2月21日、2月28日、3月2日、3月7日、3月13日、3月20日、3月30日の計9回にわたり精査した。

6審査会の判断
実施機関の行った原処分が‘庁議における審議内容部分’を行政庁の意思形成途上の未成熟情報と見なし、条例7条7号を適用し‘部分公開’としたことには一応の合理性があるようにも思われる。しかし、庁議録をつぶさに検討したところ、原処分により開示された部分が僅少、大部分が黒くマスキングされており、実質的に‘非公開’に近いものとなっている。原則開示の情報公開制度の理念に照らせば、原処分に対しては少なからず違和感を覚えざるを得ない。 確かに原処分の理由とされているように、庁議に付される審議事項についての審議が未了の段階で公表されることは、一般に種々のトラブルの発生も懸念されよう。しかしながら、情報公開制度の目的は、行政過程において、行政庁がその説明責任を全うし、市民参加の開かれた市政の一層の推進に資することにある。したがって、庁議録に記録された行政庁の意思形成のプロセスそのものを素朴に‘未成熟’情報として一括処理し、その大半を非開示部分としてしまうことは、市政に対する一般市民の不信感を誘発することにもなりかねない。逆に、庁議録を積極的に開示することによって、市政運営の透明性を高め、個々の行政課題に対する市民の理解を深め、信頼感を得ることができると考える。現に市長はその施政方針演説において‘情報の共有化日本一のまちづくり’を掲げており、庁議録でも随所に本市行政運営の理念と実践姿勢が明確に示されている。当審査会は、市長主導の庁議内容を可能な限り開示するほうがむしろ行政から市民への積極的なメッセージの発信として意義をもつとの認識で一致した。すなわち、当審査会は、開示請求された‘庁議録’のなかで、法令秘、公務員等を除く特定個人識別可能情報、私法人等に関する情報、開示請求者の生命・健康・財産を危うくしかねない情報、公共の安全・秩序維持に支障を及ぼしかねない情報、国や他の地方公共団体との協力関係を損ねかねない情報、公的意思決定の公正さを損ないかねない審議過程情報、適正な事務事業の遂行を妨げかねない情報等、適用除外を定める情報公開条例7条各号に該当すると認められる重大かつ機密に属する情報のみを非開示とした。別表に掲げた部分は、そこに示した理由で条例7条のいずれかの号に該当し、非開示相当と考える。また、庁議に関わる録音テープ、CD-Rなどの録音資料は情報公開条例2条3号にいう‘公文書’には該当するが、上記の適用除外の各号に該当する部分のみを合理的に削除することは技術的に非常に困難なので、今回は開示の対象とはなり得ないと判断した。

7結び
本市は全国レベルでも優れた情報公開制度を整え、実施機関の説明責任を果たし、透明度の高い行政過程の構築を図り、市民参加の市政の展開に努めている。 牛久市情報公開条例は、その前文に「近年の地方自治を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、知る権利の理念に基づき、地方自治の本旨とされる団体自治及び住民自治の拡充を図り、とりわけ住民自治の理想とする当市の行政運営に市民等が自発的かつ積極的に責任をもって参画することにより達成される権利義務をもった市民等による自治運営と団体自治の融合を現実のものとするため、この条例を制定する」と高らかに民主主義の理念を謳い上げている。伝統的な行政法理論に依拠すれば庁議録を未成熟な情報だとして開示を拒む余地があるとしても、すでに住民の情報開示請求に応えてその公開に踏み切っている地方公共団体があるという時代の流れのなかで、本市もこの情報公開条例前文の趣旨を踏まえ、組織共用文書として保有されている‘庁議録’に対して進んで‘原則開示’の大原則を適用させることが至当であると考えられる。

                                                                                       平成17年度牛久市情報公開・個人情報保護審査会

                                                                                                                                安部 英博

                                                                                                                                黒澤 勇(副会長)

                                                                                                                                手賀 正治

                                                                                                                                滑川 義一

                                                                                                                                八木下 巽

                                                                                                                                山本 順一(会長)

 

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