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市政情報

令和2年度牛久市社会教育委員会議 提言書提出(2021年3月5日更新)

 現在、牛久市では、令和元年度から令和5年度までを実施期間とする「第1期牛久市教育振興基本計画~市民 だれもが学び合う「学びの共同体」づくり~」を策定し実施しています。
 この計画の実施にあたり、補完または、さらなる充実が図られること期待し、社会教育委員会議の立場から 教育委員会に対する提言書を、令和3年3月5日に教育長へ提出しました。
 提言書を受け取った教育長は、「提言を基に、地域と学校が連携協働し、学校を核とした地域づくりをさらに発展的なものとし、学校教育と社会教育の充実を図りたい。」と述べました。
 

提言書提出の様子 提言書提出の様子

 
提言書
 
牛久市の「学校と地域との連携」、「伝統文化の継承・教育」、「牛久シャトーの活用」に向けて
 
令和3年3月5日
牛久市社会教育委員会議
 
はじめに
 
 社会教育委員の職務については、社会教育法第17条に定められており、次のような役割が求められています 。
(1) 行政と市民のパイプ(橋渡し)的役割、住民の意向を行政の施策運営へと反映
(2) 家庭・学校・地域をつなぐコーディネート的役割
(3) 家庭や地域の教育力向上のための直接的な貢献
(4) 地域での社会教育活動活性化のためのネットワークづくり
参考 国立教育政策研究所社会教育実践研究センター「社会教育委員の職務等の実態に関する調査報告書」(平成19年)
 
 このことを鑑み、平成29年度より、牛久市では社会教育委員がテーマを設定し、調査研究を行い、提言を行 うことで、市民の声を反映した教育行政に変革を行って参りました。
 第一回目は平成31年3月に、「生涯学習課・スポーツ推進課・中央図書館が現在抱えている課題の問題解決に 向けて」をテーマに提言を行いました。
 今回第二回目は、令和元年7月に外部の学識経験者も交えた委員会として新たに発足させ、テーマを議論した 結果、牛久市社会教育の重要課題である「学校と地域との連携」、「伝統文化の継承・教育」、「牛久シャトーの活用」 について提言を行うこととしました。令和元年度から開始した市内全小中学校のコミュニティ・スクール化を後押しすべ く「学校を核とした地域づくり」をより推進すること、また、再生に向けて新たに立ち上がった牛久シャトーが、令和2 年6月には、「日本ワイン140年史~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」をテーマに文化庁から山梨県甲州市と共に日 本遺産に認定されたことにより、改めて伝統文化を継承するための教育、牛久シャトーの活用について議論を行い、提言 書に取りまとめました。
 牛久市では、2019年度から2023年度までを実施期間とする第1期牛久市教育振興基本計画~市民だれもが学び 合う「学びの共同体」づくり~を策定し、実施しています。この計画実施にあたっては、本提言も鑑み、補完または、さ らなる充実が図られることを期待いたします。
 このために、市内各団体などの地域資源を含めた民間活力を積極的に取り入れることで、行政だけでは成し 得ない取り組みとして推進していただきたいと考えています。
 また、子どもの時から大人になってからも、市民の各成長段階において、牛久市の社会教育に関わりながら 成長できる機会を確保し、社会教育を軸として市民同士が交流しながら、共感し合えるまちづくりを目指します。
 この提言書の内容を一つでも多く実践に移すことで、牛久市の社会教育の更なる推進のみならず、国連が採 択した持続可能な開発のための目標(Sustainable Development Goals:略、SDGs)の達成にも寄与するものと思っていま す。
 
1.「学校と地域との連携」について
 
【目標】
 第1期牛久市教育振興基本計画では、「地域と学校の連携強化」のための施策の展開方向として「学校と保護 者、地域人材等が連携・協働する仕組みを整備・推進することにより、『地域とともにある学校』『学校を核とした地域 』をつくり、子どもも大人も学び合い・育ち合う環境をつくります。」と掲げています。そのために、(1)コミュニ ティ・スクールの推進、(2)地域学校協働活動の推進、(3)放課後・土曜日の学習・預かり支援、(4)学校サ ポーターの配置と学校支援ボランティアの育成、が挙げられています。(78~79頁参照)
 
【現状と課題】
 牛久市では、令和元年度に市内の全小中義務教育学校に学校運営協議会が設置され、コミュニティ・スクー ルとなりました。学校関係者、保護者、地域住民が一体となって、「地域と共にある学校づくり」に取り組んでいます。 同時に、地域全体で子ども達の学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」を目指して、コミュニティ ・スクールとの両輪で、地域と学校が連携・協働して行う様々な活動(地域学校協働活動)を推進しています。
 これらのことにより、学校の活力が向上するだけでなく、併せて高齢者や住民の生きがいづくりなど、地域 の活性化や課題解決にも寄与できる環境が整備されつつあります。
 これらの取り組みを持続可能で発展的なものとするために、コミュニティ・スクールについて市民に一層の 理解をしていただき、協働活動への参加の促進が不可欠と考え、以下のように「学校と地域がより一層連携するための環 境づくり」をテーマに提言します。
 
【提言】
~ 学校と地域とがより一層連携するための環境づくり ~
(1)学校運営協議会の充実のため、外部組織(人材)との連携強化
 社会教育委員を始め教育関係者、協議会の構成員や保護者が、地域住民に対して、協議会へのより一層の協 力の働き掛けをすることで、協議会の充実を図る。
 このことで、行政区と学校との連携を強化したり、地域住民が学校での講師や見守り活動などのボランティ ア活動に参加したりするなど、コミュニティ・スクールの一層の促進を図る。
 
(2)取り組みのPR活動
 多岐に渡り広がってきたコミュニティ・スクールの取り組みについて、広く市民と共有し、協力体制を強化 するためには学校と地域住民との相互理解が大事である。子どもたちや地域住民が、鯉まつりやかっぱ祭りなどの市のイ ベントで学校や地域学校協働活動の取り組み状況を発表することを通して、相互理解を深め、コミュニティ・スクールの 取り組みのさらなる発展に繋げる。
 
(3)スタッフ研修の充実
 個々の学校の取り組みの充実を図るために、コーディネーターなどのスタッフがお互いに切磋琢磨できる環 境を整備し、研修などにより研鑽する機会をより多く設ける。
 
2.「伝統文化の継承・教育」について
 
【目標】
 第1期牛久市教育振興基本計画では、「文化遺産の保存と日本文化の伝承」のための施策の展開方向として「 本市の歴史・文化の理解促進、保存と活用をすすめることで、郷土に対する愛着を醸成し、地域づくりにつなげていきま す。」と掲げています。そのために、(1)歴史・文化を学ぶ機会の提供、(2)歴史・文化の調査・記録・保存・活 用、が挙げられています。(86~87頁参照)
 
【現状と課題】
 牛久市では、生涯学習推進のため、市教育委員会生涯学習課の主催講座として、歴史リレー講座を開講して いますが、受講者は高齢者が多いのが現状です。
 また、子どもたちも「総合的な学習の時間」を活用して、ふるさとである牛久の歴史について学ぶ機会はあ るものの、総合的な学習の時間以外の授業では触れる機会が少ない状況にあります。
 グローバル化が著しい社会において、自身のふるさとを誇れるように、十分に理解し、伝統文化の継承と保 存に繋げることはとても重要なことであると考えるため、以下のように提言します。
 
【提言】
~ 歴史と文化を継承できる人材育成 ~
(1)子どもたちに牛久の歴史と文化を伝えることのできる人材育成
 幅広い分野でグローバルに活躍するリーダーには、地域の歴史や文化を十分に理解し、その魅力や豊かさを 若い世代に伝えることができるスキルが不可欠である。自身の興味関心だけでなく、若い世代に牛久の歴史や文化を伝え られるリーダー育成のための講座を開催し、学校での外部講師としても活躍できる人材の育成に取り組む。
 
(2)牛久の歴史や文化の継承に参加できる若者の育成
 これからは、総合的な学習の時間以外の科目(社会、理科、美術など)でも牛久の歴史や文化について学ぶ 機会を持つことにより、様々な角度から学ぶ機会を確保する。
 牛久の歴史や文化を学ぶに当たっては、子どもたちが一方的に教師から教えられるのではなく、アクティブ ・ラーニングなどの実践的な学びにより、自発的に自ら学び探求する力の育成を図る。
 このことで、地域と一緒に関わり、学び合いながら、子どもたちが牛久の歴史や文化の継承に積極的に参加 できる仕組み作りを行うことで、伝統文化の保存に繋げる。
 
(3)教材作り
 上記のような人材育成をするために、子どもたちだけでなく、市民が広く牛久の歴史や文化に興味を持ち、 簡単にアクセスできるように、動画、CG、仮想現実技術(VR)等を活用したICT教材作りやSNSでの広報を行う。また、こ れらの教材作りに子どもたちが関わっていくことで、実践から歴史を学ぶ手法も取り入れていく。
 
3.「牛久シャトーの活用」について
 
【目標】
 令和元年7月に策定した牛久市文化財保存活用地域計画では、「シャトーカミヤ旧醸造場施設及び関連資源保 存活用区域」のための施策の展開方向として「日本におけるワイン生産の歴史文化により親しみを持てるように、文化財 等やそれを取り巻く周辺環境が良好に残されている事例のある関係自治体との連携を深めて保存活用を推進していくこと が必要です。」と掲げています。そのために、(1)市民が郷土への愛着と誇りを持てるような普及啓発、公開活用の 多面的な展開の継続した施策の実施、(2)国内外の多くの人々に親しみをもってもらうよう多言語コンテンツの整備 、(3)イベント実施などの多面的な活用が挙げられています。(109頁参照)
 
【現状と課題】
 1903年に創業した日本初の本格的なワイン醸造所である牛久シャトーは、2018年12月に経営不振により飲食 施設を閉店しましたが、多くの市民からの嘆願もあって、2020年6月には牛久市が99.9%を出資する第三セクターとして 運営を再開しました。その同月には、「日本ワイン140年史~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」をテーマに文化庁 から山梨県甲州市と共に日本遺産に認定されました。今後は、ますます市民と協働した施設としての活用が不可欠である と考え、以下のように提言します。
 
【提言】
~ 市民と協働した施設としての活用 ~
(1)公園的活用の推進
 市民が気軽に訪れ、公園としての活用ができるようにする。キャンプやバーベキューなど、アウトドア活動 を楽しむ要素も入れ込むことで、日本遺産の公園的活用を推進する。
 
(2)公民館的活用の推進
 地元の文化部の子どもたちや市民が、自分たちの活動の発表の場として活用する。また、地域住民の研修の 場としての活用も推進することで、生涯学習のための公民館的活用を行う。
 例えば、音楽演奏や神谷伝兵衛が収集したコレクションの展示会やお祭りなど人が集うイベントの場として 活用することで、日本遺産としての価値を高める。
 
(3)高校生や地域住民による支援チームの結成
 牛久市内の4つの高校生が、牛久シャトーの支援チームを結成し、活用についてのアイデアコンペを行うなど 、高校生ならではの柔軟な発想を活かす。また、その取り組みをPRすることで支援の輪を地域住民に広げていく。
 
(4)市民が積極的に参加できる場の創出
 牛久シャトーが市民に愛される施設となるためには、市民と協働した取り組みが不可欠である。それには、 花壇整備やイルミネーション設置、観光ボランティアなどとの連携、ワインづくりへの支援などのほか、市民からアイデ アを募集するなど、市民が想いを持って積極的に参加できる場の創出に取り組む。
 
<用語の解説>
○社会教育
 生涯学習のうち、家庭教育や学校教育以外の部分。
○社会教育委員
 社会教育法(昭和24年法律第207号)第15条に基づき、都道府県及び市町村に置くことができる組織で、社会 教育に関し教育委員会に助言や意見を述べることができる組織です。また、社会教育関係団体等へも助言と指導を与える ことができます。
○日本遺産(Japan Heritage)
 日本の各地域に点在する、有形無形の遺産や文化財群その地域の歴史的ストーリーに絡めて「面」として活 用し、国内外に戦略的に発信することにより認知を広め、地域の活性化を図るために文化庁が2015年に創設した認定制度 です。
○持続可能な開発のための目標(Sustainable Development Goals:略、SDGs)
 2015年9月の国連総会で採択された「我々の世界を変革する持続可能な開発のための行動計画」 (Transforming our world the 2030 Agenda for Sustainable Development)と題する成果文書で示された2030年にむけ た具体的行動指針です。17の世界的規模目標と169の達成基準から成ります。
〇学校運営協議会
 学校と保護者や地域住民がともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、一緒に協働しなが ら子どもたちの豊かな成長を支え「地域とともにある学校づくり」を進めるために、地方教育行政の組織及び運営に関す る法律(昭和31年法律第162号)第47条の5の規定に基づいた仕組みで、学校運営協議会を設置した学校をコミュニティ・ スクールといいます。
○地域学校協働活動
 地域の高齢者、成人、学生、保護者、PTA、NPO、民間企業、団体等の幅広い地域住民等の参画を得て、地域 全体で子ども達の学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」を目指して、地域と学校が相互にパート ナーとして連携・協働して行う様々な活動。コミュニティ・スクールとの両輪で連携活動し、地域の創生につながってい くことが期待されます。
○SNS
 ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略で、インターネット上で人と人の つながりや交流ができる会員制サービスです。最近は企業、政府、地方自治体等も広報・宣伝の媒体としての活用をして います。アメリカ合衆国大統領が情報発信のため活用していることでも有名です。
○ICT
 情報通信技術(Information and Communication Technology)の略です。通信技術を活用したコミュニケー ションを指し、情報処理だけではなく、インターネットのような通信技術を利用した産業やサービスの総称です。
 
<参考資料>
 
牛久市社会教育委員名簿
議長 武田直樹 〇 学識経験者 NPOフュージョン社会力創造パートナーズ理事長
副議長 守屋常雄 〇 牛久市市議会議員 教育民生常任委員会
  田井鉄男 青少年育成牛久市民会議会長
  伊藤晶子 牛久市子ども会育成連合会理事
  永井康 〇 牛久市校長会
  上田晃生 牛久市PTA連絡協議会
  種子田孝子 牛久市文化協会会長
  松田元 〇 牛久市文化芸術振興審議会
  唯根勉 牛久市体育協会
  小島五男 〇 牛久市スポーツ少年団
  竹上謙一 牛久市スポーツ推進委員協議会
  佐々江健治 牛久市図書館協議会
任期(令和元年7月1日~令和3年6月30日)
*〇は小委員会メンバー
 
提言書作成の審議経過
 この提言は、牛久市社会教育委員会議小委員会の審議結果を踏まえ、社会教育委員会議全体会議において取 りまとめ公表するものである。
開催日 提言作成に関する議題
1 令和2年2月14日 第1回委員会
 テーマについて審議し、「学校と地域との連携」「伝統文化の継承 ・教育」「牛久シャトーの再生」について、社会教育の観点から3回の小委員会で提言をまとめていくことを決定した。
2 令和2年6月26日 第1回小委員会
 牛久市での学校と地域との連携の状況について、担当職員から説明を受け、意見交換を行った。
3 令和2年7月28日 第2回小委員会
 牛久シャトーを現地視察した後、現況について担当職員から説明 を受け、意見交換を行った。その後、「学校と地域の連携」「伝統文化の継承、伝統文化と教育」「牛久シャトーの再生 」について、ブレインストーミングにより意見やアイデアを出し合った。
4 令和2年9月29日 第3回小委員会
 第2回小委員会で出し合った意見から、提言に盛り込む内容を精査 した。
5 令和2年12月23日 第2回委員会
 小委員会がまとめた提言案の審議を行った。
6 令和3年2月3日 第2回委員会
 提言案の最終審議を行った。
7 令和3年3月5日 提言書の提出

問い合わせ先

このページに関するお問い合わせは生涯学習課 生涯学習・地域協働活動グループ(ひたち野リフレ)です。

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