作成日:2004/05/13


カエルの卵ってどこにあるの?


早春の谷津田を親子で探索   広報うしく市民特派員 小原 靖三

カエルの卵を見つけよう!

 皆さん、近ごろカエルやカエルの卵を見掛けたことがありますか?10年前までは、ごく普通に見られた生き物(ありふれた…と言ったらカエルに失礼でしょうか?)だが、最近はそのチャンスが減ってきたように感じる。そこで、市環境衛生課主催の「うしく・かんきょう調査団」の調査、「カエルの卵を見つけよう」に参加した。市の「環境基本計画」の策定にかかわる環境基礎調査の一環で、平成15年度から開始された。昨年8月の「牛久の自然めぐりツアー」を第1回として、谷津田の生き物や雑木林の樹種などの調査を続け、延べ80人の市民参加があったそうだ。今回は、年度最終の第6回目である。(写真)あった、あった!カエルの卵(みどり野付近の谷津田で)

なつかしい里山、谷津田はまだ健在

 3月30日朝、春だというのに冷たい小雨で、まるで冬に逆戻りしたような寒さである。あいにくの天気のせいか、子どもの姿は少なめで、大人を合わせて30人近くの市民参加である。市職員のほかに、案内してくださるボランティアの人たちが多いのには頭が下がる。みんな慣れているのか、ジャンパーや長靴の完全防備スタイル。事前説明で、カエルは思った以上に環境変化に敏感で、生態系バランスのくずれのバロメーターであることを知った。特に、今回対象の「アズマヒキガエル」などは、山の中で冬眠し、早春に田んぼに下りてきて産卵する。森と水辺がないと生息できない動物である。ヒキガエルは吸盤を持たず、腹筋がないのでジャンプもできない。産卵のときも、オスがメスのおなかを押して助けないと駄目なくらいだ。したがって、森すそに道路や側溝ができたり、機械化のために、冬場の田んぼを乾燥させると生きていけなくなる。
 探索場所は、みどり野団地付近と遠山の2カ所。どちらもカエルが冬を越す谷津田である。冬枯れの雑木林のすそ野に、水をたたえた小さな田んぼが重なる懐かしい景色に行き着く。日本の農村の原風景である。早速、田んぼの中にカエルの卵を見つけて、子どもたちは大喜び。ニホンアカガエルの卵は大きなゼリーのかたまり、ヒキガエルのは太いチューブがうねったようだ。泥んこのあぜ道に足を取られながらも、ほかにいないかと探し回る。ついに、母親のヒキガエルを2匹発見。見つけた子どもは、つまんで胸に抱いている。自然の生き物に対する子どもの好奇心の強さを再認識する。春まだ浅いのにサワガニとドジョウ、遠山ではヤゴも発見。里山にも着実に春の足音が聞こえる。

知ろう、守ろう! 郷土の自然環境

 カエルにとって生きにくい環境は、人間にとっても同じである。カエルの姿が消えるような生活圏の変化は、今はそれほど感じないにしても、将来の子孫に負の遺産として残るだろう。しかし調査団に参加して、牛久にはまだまだ自分の知らない素晴らしい自然環境が残されているのを実感した。希少にはなったが、カエルだけでなく、メダカやホタルが発見される水辺もある。湖沼と里山から形成された牛久の自然保全・維持は、今ならまだ間に合うかも知れない。市民一人ひとりが、心から「住んで良かった」と思える故郷づくりを目指し、環境活動に参加することの重要性が高まっている。(写真)子どもが見つけた大きなメスのヒキガエル