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市政情報

平成23年度 諮問第11号/答申(2017年4月14日更新)

諮問第11号における答申内容

「国土利用計画法に係る届出書」及び「公有地拡大推進法に係る届出書」の部分公開決定に対する異議申立てに関する答申

(諮問第11号)
 情報公開請求に対する部分公開決定に係る不服申立事案に対する情報公開・個人情報保護審査会の答申
 
 平成23年3月14日付牛久市甲第960号公開決定に係る異議申立については、議長を除く出席委員4名のうち、本件異議申立を認めるべきであるとする意見と、本件異議申立を棄却すべきであるとする意見とが同数となったため、牛久市情報公開・個人情報保護審査会条例第7条第5項の規定に従い、「議長の決するところにより、本件異議申立は棄却されるべきである。」との結論に達した。

1.本件諮問は、牛久市が、本件異議申立人(特定個人)から平成23年2月25日付で請求のあった、(1)「小坂城址に係るサンヨーホームの国土利用計画法に係る届出書の写し」(以下、「本件文書(1)」という)、(2)「小坂城址に係る個人7名の国土利用計画法に係る届出書の写し」(以下、「本件文書(2)」という)、(3)「小坂城址に係る国際自動車の公有地拡大の推進に関する法律に係る届出書の写し」(以下、「本件文書(3)」という)、(4)「小坂城址に係る個人7名の公有地拡大の推進に関する法律に係る届出書の写し」(以下、「本件文書(4)」といい、上記本件文書(1)ないし本件文書(4)までを一括して「本件各文書」という)、の情報公開につき、平成23年3月14日付牛久市甲第960号公開決定(以下、「本件決定」という)により、本件各文書における、売買代金、土地対価、及び譲渡予定価格をいずれも非公開としたことに対して、平成23年5月13日付で、本件異議申立人より本件異議申立がなされたことによるものである。

2.表記採決に到る過程において、本件異議申立を認めるべきであるとする委員により表明された意見は、概要次のとおりである。

○本件各文書のうち、本件文書(3)については、本件異議申立人とは異なる者からの不服申立に対し、当審査会が平成21年11月19日付答申第2号(以下、「前答申」という)として、同文書を公開すべきものである旨答申したが、牛久市の平成22年1月8日付甲第53号決定書(以下、「前棄却決定」という)によって、同異議申立が棄却された経緯がある。従って、本件異議申立のうち、少なくとも、前答申において審議の対象となった本件文書(3)、及び、関係法令の解釈を同じくする本件文書(4)については、公有地拡大推進法の立法精神に則り、前答申を踏襲して、本件異議申立てを認め、当該情報を公開すべきである。

○前答申が、本件文書(3)について、公開すべきものと思料する旨判断した理由として挙げている、牛久市政の透明性の確保と情報公開の総合的な推進を図る条例の尊重、更には、同文書中における譲渡予定価格の法的性質、及び、同予定価格が公開されることにより当事者が被ることのあり得べき不利益が実質的に小さいと予測されることは、いずれも本件異議申立に関しても等しく妥当するものである。

○本件文書(3)に関する、牛久市からの当事者に対する関連文書の公開に係る意思確認に対し、一方の当事者である国際自動車が何らの応答をもしていない事実についても、本件各文書の公開に対する当事者からの意思の表明として、考慮されるべきである。

3.同じく表記採決に到る過程において、本件異議申立を棄却すべきであるとする委員により表明された意見は、概要次のとおりである。

○牛久市情報公開条例第7条柱書によれば、実施機関は、同条各号のいずれかに該当する情報について公開請求がなされた場合、当該情報を公開しないことができる、とされている。そして、本件異議申立にかかる本件各文書において牛久市が公開しなかった譲渡予定価格等の各情報は、いずれも同条2号本文後段にいう、「特定の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当すると考えられ、かつ、同条同号アないしエに規定された例外事由の存在が本件において認められない以上、本件各文書に関する牛久市の部分公開決定は、同条例に基づく適法なものであり、これに対する異議申立は、理由のないものとして棄却されるべきである。

○本件各文書において取引対象となった不動産に関する牛久市政の透明性の要請は、牛久市が直接当事者となった取引について全ての情報が公開されれば充たされるものであり、その前主、前々主及び前々々主である私人が当事者となった取引についてまで、全ての情報を公開すべき必要があるとは認められない。

○本件文書(3)に関する牛久市からの関連文書の公開に係る意思確認に対して、国際自動車から何ら応答がなかったとしても、相手方当事者であるサンヨーホームが、譲渡予定価格を公開されることに対して異議を述べている以上、本件各文書における譲渡予定価格等の情報について、当事者が公開に同意していたと言うことはできない。

4.以上に対して、議長が決する際に述べた意見は、次のとおりである。

○一般に、私人間における不動産の譲渡価格は、不動産が財産としての個別性を極めて強く持ち、かつ、譲渡当事者間における諸般の事情が複雑に絡みあって決定されるものであるから、当事者が任意にこれを公開する場合や、法令上公開を行うことが明確に要請されている場合でない限り、不動産の譲渡価格に係る情報を一般に公開することは、当事者の通常の意思に反するものであり、また、社会的にも予定されていないと言うべきである。なお、以上の事情は、当事者が個人である場合はもとより、業として不動産の売買等を反復継続して行う事業会社であっても、異ならないものと考えられる。
 従って、牛久市が本件決定において、本件各文書における売買代金、土地対価、及び譲渡予定価格に係る情報を非公開としたことは、本件各文書中に記載された不動産売買の当事者の権利利益の保護に配慮した結果であると認められ、その判断には基本的な合理性があると言うべきである。また、かかる決定は、牛久市情報公開条例第7条柱書、同条第2号に規定された非公開情報の取扱に関する牛久市の行政裁量の範囲内にあるものと考えられるから、本件決定は、少なくとも、同条例に反するものでないことが明らかである。
 もっとも、本件各文書のうち、本件文書(3)については、当審査会が前答申において同情報を公開すべきものとの答申をしているため、以下、前答申と本答申との関係について説明する。

○前答申は、本件文書(3)にかかる譲渡予定価格が非公開とされたことについて、(ア)当該情報は法令により牛久市を経由して茨城県に届け出られ、牛久市及び茨城県の双方が、取得し、かつ管理しているものであるから、市政の運営の適正さを判断するための資料として、当該情報が有益である、(イ)公有地拡大推進法上の届出にかかる譲渡予定価格は、法令上牛久市及び当事者を拘束するものではないが、牛久市が当該不動産について先買権を行使するための一つの参考となるものであるから、市政の透明性確保のため、どのような情報を牛久市が参考としたかを公開することが、牛久市の情報公開制度の趣旨からして必要である、(ウ)公有地拡大推進法上の届出に係る譲渡予定価格は、予定された譲渡における参考価格に過ぎず、牛久市はもとより、当事者ですらこれに拘束されるものでないから、この情報が公開されたとしても、それは当該不動産の価格を直接公開することには当たらず、関係者の権利利益が直ちに害されるとは言えない、と述べ、結論として譲渡予定価格を公開することを求めたものである。これに対して、牛久市は、前棄却決定において、(a)市が取得し管理する情報は全て市政に関する情報であるから、市政の適正のみを理由として全ての情報を公開することは、条例において非公開情報が定められた趣旨を没却することとなりかねない、(b)私人間における不動産の譲渡価格は、予定価格といえども公開されることにより当事者の権利利益を害することが明らかである、との理由により、前答申にかかる異議申立を棄却している。

○牛久市の情報公開制度は、牛久市政の透明性確保のために行われるものであり、当該公開制度における公開の対象は、条例において公開をしないものと明記されている情報を除く全ての情報に及ぶものであるから、ある情報を公開すべきか非公開とすべきかについては、非公開とすべき理由を明示しなければならないというべきである。従って、市政の透明性確保の要請を摘示する前答申の理由(ア)は、これを覆す別の理由がない限り、当該情報を公開させるべき一般的な理由となるものであるが、前棄却決定の理由(a)が摘示するとおり、かかる一般論が条例上明定された非公開情報に対して及ばないこともまた明らかである以上、本件各文書に関して非公開とされた情報が、情報公開条例第7条で明定された非公開情報に該当すると考えられるか否かが問題となるところ、この点については、前記のとおり、不動産の譲渡価格に関する情報は、当事者間における個別の事情が複雑に絡みあって決定されるものであるから、当該情報が当事者の同意なく公開されることは、当事者の権利利益を害するおそれがあると一般に考えることができる。また、不動産に関する権利関係が登記簿により公開されていることからすれば、個人が特定される情報を除いて公開した場合でも、特定の不動産に関する取引当事者が誰であるかは容易に調査可能なことであるから、当事者の権利利益を害するおそれなくして譲渡価格等を公開することは、事実上不可能であると考えて差し支えない。従って、本件各文書における国土利用計画法上の譲渡価格、及び、公有地拡大推進法上の譲渡予定価格が、不動産の譲渡価格であると解釈される限り、これらの情報は、原則として、牛久市情報公開条例第7条にいう非公開情報に該当するものと考えられる。

○次に、前答申の理由(イ)及び(ウ)は、要するに、私人間における不動産取引に係る譲渡予定価格といえども、公有地拡大推進法上の先買権を行使すべきか否かという市政の参考となるべき情報である以上、原則的に公開がなされるべきであり、譲渡予定価格の性質からして、これを公開したとしても当事者が被る権利利益に係る被害は極めて小さい、と述べるのに対し、前棄却決定の理由(b)は、要するに、私人間の取引にかかる情報を公開することは原則として許されず、譲渡予定価格といえども、これを公開することにより関係者の権利利益が害されることは明らかである、とするものである。従って、ここで検討を行うべきは、前答申が議論の前提とする市政の透明性確保の一般的な要請と、前棄却決定が強調する私人間取引における当事者の権利利益保護の要請との均衡を、牛久市情報公開制度の趣旨に照らして、どのように考えるべきかであり、牛久市情報公開条例の解釈との関係では、公有地拡大推進法上の譲渡予定価格の性質からして、かかる情報が公開されたとしても、当事者の権利利益を害するおそれがないと言えるか否か、また、仮に当該情報の公開が当事者の権利利益を害するとしても、なお、当該情報を公開することが牛久市政の透明性確保のために必要かつ有益であると判断されるか否かが問題となるところ、冒頭で述べたとおり、一般論として、私人間における不動産譲渡の価格に係る情報は、当事者が公開を欲しないと考えられる情報であり、法令において譲渡の価格ないし予定価格を届け出ることが要請されていたとしても、かかる届出は当該情報を管理する権限及び責任を持つ機関に対する関係でのみ情報が示されたものと考えられる。従って、譲渡価格等に関する届出制度が存在するとの一事を以て、かかる情報の全てが公開されるべきであると言うことはできない。また、冒頭より述べてきたとおり、不動産に関する譲渡価格が当事者間において決定される過程について考えるならば、公的機関に届け出られた譲渡の予定価格といえども、かかる予定価格の決定に際しては、当事者間における個別の事情が複雑に絡みあっている筈であり、当該情報を同意なく公開されることが、当事者の権利利益を害するおそれがないと言うことはできない。

○このように、譲渡予定価格の公開が、当事者の権利利益を害するおそれがあることが否定できないとすると、同情報は、情報公開条例第7条第2号にいう非公開情報に該当するものであり、従って、牛久市としては、原則としてこれを公開すべきでないものと考えられる。
  もっとも、同条柱書は、非公開情報について実施機関は「公開しないことができる」と規定しているから、理論上は、同条に該当する非公開情報であっても、牛久市の裁量により、これを公開することは、必ずしも条例に反するものでないとの解釈も不可能でない。しかしながら、同条において非公開情報が限定列挙されている趣旨や、同条第2号アないしエにおいて非公開とすることができない例外事由が明記されている趣旨からすれば、同条に該当する非公開情報の取扱について、牛久市に限定のない裁量が与えられているものと言うことはできない。
  すなわち、公有地の拡大推進に関する牛久市政の判断にかかる透明性の確保が一般論として要請されるものとしても、私人が一般に公開を欲しない情報であって、当該情報の公開により当事者の権利利益が害されるおそれがあるにもかかわらず、同情報を公開すべきことが認められる場合とは、情報公開条例において明記された例外事由と同等の理由がある場合のほか、当該情報が市政の具体的決定について直接影響を与え、当該情報が公開されない限り、市政の具体的決定の妥当性が判断できないような例外的場合に限られるものと言うべきである。

○この観点から、公有地拡大推進法上の届出に係る譲渡予定価格について見てみると、前答申も指摘するとおり、この予定価格は、牛久市はもとより、届出当事者をも拘束しないものである。また、牛久市が公有地拡大推進法上の先買権を行使するに際しては、当該不動産が市政運営のために必要であることを、当該届出がなされたこと以外に求める必要があるほか、当該先買権の行使においては、届け出られた譲渡予定価格に関わらず、適正に土地の価値を算定したうえで価格を決定すべきものとされている。
  従って、公有地拡大推進法上の先買権の行使ないし不行使という市政の具体的決定に対して、公有地拡大推進法上の届出自体が同法上の先買権の行使の契機となっていることは明らかであるが、具体的な先買権の行使ないし不行使の決定に対して直接影響を与えている情報は、当該不動産を市政の運営のために使用すべき必要性に関する関係審議会等の決定等に係る情報と、当該不動産の適正な価値を算定するために利用された鑑定等の資料に係る情報とであって、公有地拡大推進法上の届出に記載される譲渡予定価格については、市政の具体的決定に対して直接影響を与えていると言うことはできない。また、公的機関による公有地の拡大推進に関する具体的決定は、安価な不動産を買い付けること自体を目的とするものでなく、一定の条件を充たす不動産について適法かつ適正な規準に従って公有地として全体の利益に資することを目的として行われるものであることからも、当該不動産の具体的状況や、その適正価値に関する情報と異なり、当事者の届け出る譲渡予定価格については、これが公開されない限り当該不動産に関する公有地の拡大推進についての市政の具体的決定の妥当性が判断できなくなるということはないものと考えられる。

○以上のことからすると、前答申が、理由(イ)において、公有地拡大推進法上の届出に係る譲渡予定価格が先買権行使のための参考情報となるとした判断については、公有地拡大推進法の届出自体が先買権行使の契機となることが否定できず、かつ、牛久市政における公有地拡大推進の過程で全く参考とされていないとまでは言えないものの、前記のとおり、公有地拡大推進に関する市政の透明性確保の要請に対しては、他のより有益な情報によりその妥当性が確認されるべきであり、当事者の権利利益を害するおそれのあることが否定できない譲渡予定価格を、当事者の同意なくして公開することに対しては、慎重であってしかるべきであると考える。同様に、前答申の理由(ウ)に対しても、譲渡予定価格が当事者を拘束するものでなく、計算根拠等を届け出る必要がないとしても、当該情報が公開されることにより、当事者の権利利益を害するおそれがないと言うことができない以上、かかる情報を当事者の同意なくして公開することは、原則として差し控えるべきであると考える。

○他方、国土利用計画法上の届出における売買代金ないし土地の対価については、公有地拡大推進法上の届出と異なり、当事者間で現に行われた譲渡に係る情報を記載するものであるから、当事者が当該情報の公開を欲しないとの原則論は、公有地拡大推進法上の届出に係る譲渡予定価格の場合以上に、妥当するものと言うべきである。すなわち、当該売買代金ないし土地対価に係る情報は、市政の具体的決定に対して直接影響を与えるものでなく、むしろ、牛久市が当該不動産を取得すべきであるとの決定に直接影響を与える情報は、当該不動産の取得を必要とする理由に係る関係審議会等の決定等の情報と当該不動産の取得に際して算定された当該不動産の価値に係る鑑定等の資料に係る情報とであるから、市政の透明性確保に係る一般的な要請があるとしても、本件文書(1)及び(2)について、当事者が公開を欲しない情報を同意なくして公開することは、差し控えられるべきであると考える。

○以上のとおり、議長としては、本件異議申立に係る各情報を公開しなかった牛久市の決定は、情報公開条例に則った適法なものであり、かつ、市政の透明性確保の要請と関係者の権利利益の保護の必要性の均衡との観点からも妥当であると考えるものであり、これと結論を異にする前答申については、その一般論としての妥当性についてはともかく、本件決定についての具体的解釈としては、なお考慮すべき要素が多々あるものと思われたため、本答申において異なる結論に達した次第である。

                                                                                                                                            以 上


平成23年8月31日(答申第1号)

                                                                                                               

牛久市情報公開・個人情報保護審査会

安部  英博

稲見  攝五

滑川  義一

久吉  一生(副会長)

星野  豊(会長)

宮本  芳孝

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