作成日:2004/04/30


地域に根付いた配食サービス 人と人とのぬくもりを


調理はチームワークで   広報うしく市民特派員 飯塚 寿子

 三月十八日午前九時、みどり野区民会館の玄関を開けると、いいにおいと調理器具の動く音が聞こえ、厨房に伺うと八人の方々がてきぱきと調理にかかっていました。
 本日のメニューは、季節感あふれる五目ちらし、鮭のマリネ、ほうれん草のお浸し、五目ひじき煮、煮豆、それに、さくらもちが付くそうです。十五軒の登録ですが、今日のお届けは九軒です。
 この配食サービスは、みどり野行政区の事業として、小野寺治子区長を中心に平成七年六月から開始され、毎月第三木曜日に実施されています。きっかけは、一人暮らしの高齢者が「食事を作るのが面倒になり買ってしまう。おいしくないし、煮物があまりない」と言っていたのを聞いたことでした。それで、区の役員で「月に一回でも配食サービスをやってみてはどうか」ということになり、「七十歳以上で一人暮らし」を条件(例外もあり)に始め、多くの役員の協力もあり、八年も続いています。このサービスは、各年の区の役員が担当し、代金は無料です。
 取材は、調理作業中からおじゃましました。時間に追われながらも、和やかな雰囲気で調理は進んでいきます。食材は持ち寄りのものもありますが、一食四百円の予算で、漆塗りのお弁当箱で届けられます。うれしいことは、お弁当箱を下げに行くと手紙が添えてあったり、「おいしかったです。次回も楽しみにしています」といった声に支えられていること。また、一番の苦労は、衛生面と献立を考えることで、栄養のバランスはもちろん、固くなく、味は濃くなく、見た目良く、そして季節感。ベテラン主婦たちの腕の見せどころです。発足当初は栄養士や市職員の指導を受けたり、味をみてもらったりしたこともありましたが、今ではすべて自分たちで行っています。
(写真上)手際よく盛り付けされていくお弁当

お待ちどおさま! お弁当で〜す!

 さあ、出来上がりました。おいしそう。間仕切りのあるお弁当箱にきれいに詰められ、お店で作ったような感じです。配達当番の方が徒歩や車で一軒ずつ届けます。私は、九十一歳になる山崎お志づさん宅(南)に同行させていただきました。「山崎さーん、お弁当を届けに来ました」「はーい、待っていました。一人暮らしにはありがたいことです。心がこもっていて季節感があっておいしい。月一回が楽しみです」と本当にうれしそうでした。
 私もお昼にお弁当をごちそうになりました。味も薄めになっており、彩りも抜群です。程なくして下げてきたお弁当箱に今日も手紙が入っていました。「ごちそうさまでした。おいしかったです。雨の中、ありがとうございました」と。
 続けるということは、大変なことです。ぬくもりのデリバリーが長く続くことを祈りながら、午後三時、小雨降るみどり野区民会館を後にしました。
(写真右)「山崎さん、お弁当です」お弁当を受け取る山崎さん