市の財政はどうなってるの?牛久市はどうなのでしょうか。


牛久市の財政状況について

 グラフ1のとおり「経常収支比率」は右肩上がり、「地方債残高」は横ばい傾向、対して基金残高は、グラフ2のように平成9年度を境に右肩下がりになっています。これは、何を表すのでしょうか。

<グラフ1>市債残高(普通会計※1)と経常収支比率の推移

<グラフ2>基金(※2)残高の推移(普通会計)

▼経常収支比率とは?

 市町村の財政状況を表す代表的な指標として、「経常収支比率」がよく使われます。これは、財政の弾力性を見るための指標で、人件費、扶助費、公債費などの経常経費(毎年支出される性質の経費)に、経常一般財源(市税や普通交付税などの、使い方を制限されない、毎年収入される性質の収入)などが、どの程度使われているかを示します。この数値が低いほど、財政に余裕があり、さまざまな市民ニーズに柔軟に対応できることになります。
 平成14年度の牛久市の普通会計における経常収支比率は92.2%で、これは、当市の一般財源など約134億円のうち、124億円が経常経費に使われたことを示しています。

経常収支比率(92.2%)の性質別区分(※3)の内訳

<平成14年度>
・人件費 27.6%(うち職員給 19.5%)
・扶助費 2.9%
・公債費 18.4%
 以上の義務的経費で48.9%ほかに
・物件費 23.0%
・補助費等 12.7%など
 牛久市の経常収支比率92.2%は、県内22市中、4番目に高い数値となっています(22市平均は87.5%)。平成13年度より1.6ポイント、平成4年度から見ると21.5ポイント上昇しています。その要因として、この10年間に整備した次の施設の維持管理経費、建設事業債(借金)の返済金の発生が挙げられます。

平成5年  市総合福祉センター、市中央図書館、牛久運動公園体育館

平成10年 ひたち野うしく駅

平成11年 うしくあみ斎場、うしくクリーンセンター、リサイクルプラザ

 つまり、市民生活に欠かせない施設が整備される一方で、市の財政状況は急速に悪化したことになります。市の財政を一般家庭に例えると、上のグラフが示すとおり、苦しい家計を支えるために借金をし、貯金を崩しながら何とかしのいでいる状況といえます。このままの財政運営を続けていけば、いずれ破たんしてしまうことは目に見えています。     

平成16年度当初予算

 それに追い打ちをかけるかのように、国の政策である「三位一体の改革」に伴う歳入の減額が進んでいます。

平成16年度牛久市予算では……

▼ 国の「三位一体の改革」による歳入の減額

・  普通交付税(2億3,257万8千円減)
・  普通交付税の代替措置である臨時財政対策債(4億670万円減)<平成15年度許可額との比較>
・  保育所運営費公立分負担金の一般財源化(1億2,428万9千円減)
・  児童手当事務取扱交付金の一般財源化(393万9千円減)
・  児童扶養手当事務取扱交付金の一般財源化(286万3千円減)
・  介護保険事務費交付金(介護保険事業特別会計)の一般財源化(1,104万4千円減)

▼ 税源移譲措置としての歳入の増額

・ 所得譲与税(新設、1億1,721万2千円増)
・ 配当割交付金(新設、1,463万6千円増)
・ 株式譲渡所得割交付金(新設、211万2千円増)
 これらを差し引くと、「三位一体の改革」による牛久市の影響額は、6億4,745万3千円の減となります。さらに、市税の9,325万8千円の減など、一般会計全体で5億3,582万7千円の減となっています。

このような厳しい状況の中でも、歳出面では次の事業について減額しています。

・ 市長給与、手当など30%減(528万4千円)
・ 人事院勧告などによる一般職給与の減(1,389万1千円)
・ 職員時間外手当の減(4,881万4千円)
・ 委託料の減(8,586万5千円)…植栽管理費の見直し(645万3千円)、本庁舎日常清掃の一部職員直営化(1,446万3千円)、ひたち野うしく駅駐輪場の管理経費の見直し(2,648万6千円)など
・ 使用料賃借料の減(1億133万9千円)…教育用パソコン、周辺機器再リース料の減(4,494万円)、地域イントラネット回線使用料の減(1,307万1千円)

( )内は、平成15年度12月補正後現計予算との比較(臨時財政対策債を除く)

 上記のような見直しを行いながらも、平成16年度当初予算においては、財政調整基金から4億3563万七千円、減債基金から2億円を繰り入れなくては予算が組み立たない状況です。

財政状況をこれ以上悪化させないために

早急に「牛久市財政健全化計画」を策定し、実施しなければならないと考えます。計画の内容は、
・ 簡素で効率的な市役所組織、機構への転換
・ スクラップアンドビルド(※4)による事業の根本からの見直し
・ 職員人件費、手当の見直し
・ 外部の視点を入れた行政改革、補助金、交付金の見直し
・ 特別会計への繰出金の見直し
・ 外郭団体の見直し
・ 市税の滞納縮減、徴収率の向上
・ 国民健康保険税の見直し
・ 使用料、手数料など受益者負担の見直しなどです。
 一言で言うと、不必要な歳出を減らし、'歳入を適正に増やすことが急務です。それにより、経常収支比率の上昇を抑えることができると考えます。

語句説明

※1 【普通会計】 地方公共団体の決算状況を比較するために用いられる概念上の会計。牛久市では一般会計と公共用地先行取得事業特別会計、市街地再開発事業特別会計および小規模水道事業特別会計を合わせ、重複分を控除したもので構成されています。
※2 【基金】 ▼財政調整基金…財政の健全な運営のために設けられる基金▼減債基金…地方債の償還およびその信用維持のために設けられる基金 ▼特目基金…特定の目的のために財産を維持し、または資金を積み立てるための基金
※3 【性質別区分】 ▼人件費…職員(特別職、一般職)の給与、市議会議員、各種委員の報酬 ▼扶助費…生活保護法、児童福祉法、老人福祉法などに基づき支給される費用および物品の提供に要する経費で、生活扶助費、児童手当、難病患者福祉見舞金、療養給付金など ▼公債費…市が借り入れた地方債(借金)の返済金 ▼物件費…市が支出する消費的性質の経費で、委託料、需用費(消耗品など)、臨時職員の賃金など ▼補助費等…各種団体に対する補助金などが含まれ、一部事務組合である稲敷地方広域市町村圏事務組合や牛久市・阿見町斎場組合に対する負担金など
※ 4 【スクラップアンドビルド】 効率的運用を図るため、新たに事業を起こす際に、既存事業の見直しを行うこと。

問い合わせ 市行政経営課 電話029-873-2111(内線)3301


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