錦秋の自然を満喫・感動!水府村・紅葉の林道を歩く


広報うしく市民特派員 小原 靖三

晩秋の竜神峡ハイキング

 昨夜来の冷たい雨がうそのようにやんだ。雨具を着けての山歩きは気が進まないな…とちゅうちょしながら市役所へ急ぐ。11月16日朝7時、市のバスで一路目的地の水府村に向かう。牛久市国際交流協会主催「秋の水府村竜神峡ハイキング」の始まりである。参加者は市民33人と主催者。ほとんどが熟年で、女性の数の方が多少多いか〜初老の夫婦連れも多い。この行事が、17年の歴史を刻んできたことを初めて知る。ぼんやりと車窓から眺める北茨城の田舎の風景が、だんだんと晩秋の色彩を増し、見飽きない。

懐かしい日本の農山村・水府村

ハイキングの起点「竜神ダム入り口」では、水府村長さんの出迎えを受けた。村おこしに懸命な様子が伝わってくる。1986年に姉妹都市調印。人口急増の牛久と過疎化の水府の縁を、「水府の豊かな自然」が取り持ったそうだ。以来、うしくかっぱ祭りや大祭礼金砂大田楽など、相互の往来で親善友好を深めてきた。バスを降り立つと、燃える紅葉の山あいに農家が高く低く点在し、稲刈りの終わった田んぼは黄色く、やわらかく光っている。山の向こうには、はるか遠く県北の山々がかすんで連なっている。農家の庭先には濃いピンクのサザンカが咲き乱れ、だいだい色の柿の実が鈴なり。軒先にはつるし柿が干されている。まさに日本の晩秋。温かく穏やかで、懐かしい日本人の故郷の原型に思える。写真:錦絵の林道を歩く(ダムから分岐点へ

「錦絵の世界」に吸い込まれて

 コースは三つ、目的地は「竜神ふるさと村」。難度の高いのは、「亀ヶ淵」を折り返し、途中の「分岐点」から急な山道を登るセミプロ〜コース。やさしいのが分岐点を往復し、車で目的地に運んでもらう初心者コース。私たち夫婦も難関コースにチャレンジ…。友だちグループ、夫婦、孤高派と三々五々スタート。意外と急坂で先が心配される。竜神ダムから先は左に竜神湖を眺めながら、右手の急峻な山すそに沿って続く林道をひたすら歩く。天気は回復、青空さえのぞく。温度も上がり汗ばむくらいだ。しばらく登ると、天を仰ぎ見る位置に竜神大吊橋が見えてきた。橋を歩く人たちの姿がアリの様。ここら辺りから道は比較的平坦で、余裕を持って周囲の景色をめでながら、濡れ落ち葉を踏みしめる。視野360度が錦絵の世界。素晴らしい!感動!!カエデ、ナナカマドなどの深紅。黄色はクヌギの類であろうか。そして忽然と現れる杉、ヒノキ林の緑。色彩のグラデーションに吸い込まれ、自然に溶け込む感覚になる。分岐点を過ぎて少し下るとダム湖の上流端に至る。亀ヶ淵である。小さな滝を眺めながらベンチで小休止。折り返して分岐点に戻るが、急角度の上り口を見ておじけづき、竜神ダムまで引き返す。車で竜神ふるさと村まで行き、「元気部隊」と合流して昼食。午後はまた徒歩で「武生林道」を武生神社入り口まで引き返す。ことのほか急な下り坂でつま先が痛く、ひざにこたえる。写真:仲間同士しばしの休憩(亀ヶ淵)

自然に親しむ喜び再発見

 帰路はJA直売所で、新鮮な野菜をたんまり買い込む。姉妹都市の友好に貢献だ。それにしても、足は痛いが心地よい疲労感。「幸せだナー」。やはり自然に親しむことは、現代人にとって大きな喜び。無事このハイキングが終えられたのも、同行してお世話をしてくださった国際交流協会会員や事務局の皆さんのおかげだと感謝したい。来年は水府村と常陸太田市の合併が予定されているが、この「水府村ハイキング」が継続され、一人でも多くの牛久市民が美しい自然に触れ、感動してほしいと心から希望する。