自前講師の得意技生き生きと光る! 初めての市民企画講座活況

広報うしく市民特派員 小原 靖三


あなたの企画で!あなたが講師で!

 市中央公民館の呼び掛けによる、初めての『生涯学習市民企画講座』が好評に進んでいる。目的は「市民の多様な生涯学習意欲の充足を目指し、市民自らの提案により講座を企画し講師となることで、生涯学習の拡大および振興を図る」ことにある。生活環境やライフスタイルの変化の流れの中で、市民の勉学意欲はますます増幅している。一方で高齢化社会の到来が叫ばれ、長い老後をどう生きるかは切実な課題である。こうした社会動向を踏まえ、専門性やいろいろな技を持ち、社会貢献意欲に燃えた人たちと、「物から心」への価値観の転換を願う人たちの出会いの場づくりは、時代が要請する斬新な仕掛けだと思う。しかも、自治体の財政状況が逼迫した現在、「お金を掛けないで、生きがいづくりを増進するには市民自らの知恵を使う」ことが大切であろう。(写真:目は万病のもと。目の疲れを解消してすっきり(健康維持のコツ1・2・3))

硬派から軟派まで多彩なテーマ

 自主提案された企画の審査の結果、環境・健康コース、社会・教育コースから芸術・文化コース、子ども向けまで12の講座が採用された。具体的なテーマは「循環型社会形成は達成できるか」という硬めの内容から、「安来節どじょう掬い踊」など庶民的な内容まで実に多彩である。市民の生き方や興味の対象が、多様化しているのがよく分かる。ただ個人的には、生涯学習としては専門的講座の少なさにやや物足りなさを覚えた。趣味的講座と性格が違い、硬くて面白くないかもしれないが、牛久・つくばの地域特性を考えると、全国に誇れる講座の特徴を生み出そうとするならこの領域であろう。
 講座は6月の「粘土で作る花と人形」を皮切りに、多くはお盆を挟んだ7、8月の暑中に開講され、11月の「気功教室」を最後に終了予定である。

講師の社会貢献と聞き手の充足感と

 実はこの硬派テーマ「循環型社会形成は達成できるか」の講師は、何を隠そう筆者本人である。「退職後の生き方モデル」の構築の夢は、現役時代の専門性を生かして魅力ある自治体づくりへの貢献から…という思いである。「くらしの法律」など2、3の講師にも聞いてみたが、リタイア組は想像どおり自分と同じような考えであった。硬派代表の私のテーマも大盛況とまではいかないが、市の環境関係部課の職員を中心に、環境問題に関心を持つ市民や環境専攻の女子大生などが聴講した。日曜日の貴重な時間を割いて、暑さや雨の中を参加した熱意には感謝いっぱいで、資料準備にもおのずと力が入った。最終回はフランクに議論する時間を用意したが、時の経過を忘れるくらい盛り上がった。「話し手の社会貢献」と「聞き手の充足感」の両方が共存したと言えよう。(写真:汗だくでドジョウすくい(安来節どじょう掬い踊))

「知的自治体」目指し講座継続を

 講座に参画しての印象は、聴講生の知識吸収、趣味の拡大、社会参加などの意欲の旺盛さである。それだけに講師も一流の講義を目指して、真剣な事前準備が必要である。今後は、お客様である聴講生の評価の講師へのフィードバックが重要であろう。地方の時代は、自治体の品格が重要である。それだけに継続して、もっと多くの市民が講師や聴講生として参加し、市と市民の教養と文化度の向上に貢献されるよう期待したい。今回の中央公民館事務局の方々の推進熱意を持ってすれば可能であろう。