走れ!かっぱ号、市民の夢乗せて…


〜待望のコミュニティバス運行開始〜広報うしく市民特派員 小原 靖三

安全運転願い運行開始式

 皆さんも既にどこか市内の街角で、かわいいかっぱのイラストの小型バスを見掛けませんでしたか?
 7月1日からの市民待望のコミュニティバスの運行開始に先立ち、6月28日、市役所ロビーで運行開始式が挙行された。参加者は、日ごろ生活の足に不便を感じている高齢者が中心と思いきや、意外と子ども連れの人が多いのに驚いた。あいさつ・祝辞に続き、愛称「かっぱ号」の応募採用者の表彰式が行われた。多少古くさい感じがしないでもないが、「われらがまち牛久」をアピールするにふさわしいユニークなニックネームだ。その後、市内幼稚園児の元気良い「交通安全三つのお約束」の復唱と、運行委託会社の運転手さんたちへの「安全運転のお願い」があった。玄関前に横付けされた「かっぱ号」の前で、市職員のトランペットによるファンファーレに合わせてテープカットが行われ、一般市民の応募者など出席者は分乗して無料試乗会に出発した。

期待の星「かっぱ号」

 コミュニティバスの運行は、首都圏のベッドタウンとしての急発展がもたらした交通空白不便地域など、都市問題の解決を目指した検討の結果実施されるものである。市民の期待を担う「かっぱ号」は29人乗りの小型バスで5台が運行される。車体の前面と両側面には、市のシンボルのかっぱが描かれている。子どものかっぱであろうか、目のクルンとした愛らしい姿で、「アヤメ園」の銅像のやせたかっぱとは大違いである。仲良く手をつないでいるのは、市民の横の連携をさらに深めようとの呼び掛けであろうか。ルートは「ひたち野」、「奥原」など9路線で一日2〜4往復する。市役所などで乗り継ぐと、東西南北に長く、ヒトデのように変則地形の市内の隅々まで出掛けることが可能である。バス停は何と154カ所。料金もワンコイン(100円)が基本で、ツーコイン(200円)の乗り継ぎ自由な一日乗車券もあり、非常に便利そうである。むしろマイカー利用より経済的ではなかろうか。

膨らむ市民の生活の夢

 試乗バスのコースは「運動公園ルート」。最初のバス停の市民センターで【コミュニティバス・牛久市】と青に白抜きで書かれた新しい丸い標識が目に入った。ちょっと見には少し小さ過ぎるように感じるが、まあいいか…。標識は、幹線道路には往復路両側に、住宅地などの細い道路では片側1カ所に設置されているそうだ。バスは県道272号線(ふれあい通り)を北に向かう。ひたち野東の住人である筆者には、日常の生活道路である。ところが、バスは左右の住宅街の中を迂回しながら走る。「栄町団地」、「松ケ丘」…。近隣に住みながら知らない場所が多いのに驚く。もっと自分の町を知らなければ…と思う。隣席の老夫婦に声を掛けると、「自分たちが住んでいる女化の近辺は老人クラブでくまなく歩き回ったが、車を運転しないので今度はこのバスで別な場所を基地にして、いろいろ見たり聞いたり楽しみたい」と夢を膨らます。向かいの二人連れの女性は「日ごろは車に乗っているが、気が向いたとき一人でバスに乗って三日月橋に行ってウォーキングをするつもり」と積極生活派である。わが家でも電車で土浦の生涯学習に通っている妻が、「市内でのカルチャー活動など参加がしやすくなり、行動の範囲が広がる」と喜んでいる。
 高齢化社会に向け、外出意欲があるにもかかわらず足に制約を持つ市民は意外と多いのではないか。その人たちにとって、「かっぱ号」がもたらす未知の世界への行動の広がりは、大変な恩恵であろう。「走れ!かっぱ号、市民の夢を乗せて…」